「8割がセカンドオピニオン」
歯列矯正のトラブルを減らし、いい治療で明るく豊かな人生を

「8割がセカンドオピニオン」歯列矯正のトラブルを減らし、いい治療で明るく豊かな人生を

Braceは、正しい矯正治療が行き届いていない現状に対する課題感を抱いています。また同時に、その現状を打破しにくい業界構造や、治療システムの遅れに対する危機感も覚えており、代表 吉住のサービス開発の原動力になっています。

この2点に共感を寄せ、Braceを支援してくださっている矯正歯科医の有本博英先生。長らく臨床に携わり続けながら、日本の矯正歯科業界の先端を走っておられます。

今回は、有本先生にBraceのサービスに感じていることや、未来への期待についてインタビューしました。

<今回お話を聞いたのは>

イースマイル国際矯正歯科
有本博英 先生

和歌山生まれ。1991年大阪歯科大学、1995年同大学院卒(歯科矯正学)。2001年イースマイル矯正歯科大阪オフィス(大阪市天王寺区)創業。日本矯正歯科学会認定医取得後、アメリカ矯正歯科医会正会員、日本非抜歯矯正研究会マスター会員・インストラクター、米国アングルソサエティレギュラーメンバーなど。

https://www.esmile.jp/

「面白いことをしている先生がいるぞ」デジタルツールを介した縁

ー 現役矯正歯科医であり、各方面で活躍なさる有本先生ですが、Braceはどこで知っていただいたのでしょうか?

吉住先生がなさっていたオンラインセミナーを見たのがきっかけです。「面白いことをしている先生がいるぞ」と私の方からコンタクトを取りました。

当時やっている人のまだ少なかった遠隔での治療、デンタルモニタリングの話をされていて、色々と教えてもらいたいと思ったことを記憶しています。

ー 新しい技術に、共通して関心を寄せていたのですね。

そこから私のYouTubeチャンネルで対談をしたりと、懇意にさせてもらっています。

日本の歯列矯正に対する意識の遅れへ危機感

ー では早速、現状の日本における歯列矯正の現状をどう捉えていらっしゃるか、お伺いしたいです。

圧倒的に普及が足りていないと感じています。もっと歯列矯正をする人がいないとまずい、と危機感を持っていますね。

日本人の歯ならびが悪いのは世界的にも有名です。「ブランドバッグを持っていて歯ならびが悪いアジア人がいれば、それは日本人だ。見分けがすぐつく。」と言われたりします。八重歯を可愛いと見るのも日本人だけです。

ー 歯ならびに関する感覚が遅れを取っているのですね。

それでも最近は、若い層を中心に以前より歯列矯正が一般的にはなっていると感じます。ただ全体としてはまだまだです。アメリカの10代は50%ほどが矯正治療を経験しているのに対し、日本はせいぜい20%ほどです。

逆に言うと、日本には大きなマーケットが眠っているとも言えますね。

ー 日本人が歯列矯正をもっと取り入れた方が良い、というのはどんな点からでしょうか?

まず、歯ならびは健康において重要なパーツです。その影響は口腔内にとどまらず身体全体に影響します。歯列矯正は、健康と美しさの基礎を作ることだと考えています。

直近の日本は、予防歯科が流行って虫歯が減り、入れ歯ではなく自分の歯を残す人が増えました。対して歯列矯正は普及していない。

これはつまり、「不正咬合の状態で歯のある大人が増える」ということです。歯周病患者が増え、誤嚥性肺炎での死亡につながりやすくなることが想定されます。

これまでは高齢化すると歯を失って入れ歯になる人が多かったのですが、ある意味歯がないと歯周病にならないので、こういうケースの急増は無かったのではないでしょうか。

ー 歯を残すなら歯ならびを整えないと、健康を保ちにくくなるのですね。

もうひとつ、たくさんの患者さんを見ていて感じるのは、歯列矯正は人生を明るくするひとつの手段でもあるということです。

歯列矯正は数年にわたる治療で、肉体的な負担やツールの管理、習慣づけが求められます。ひとつひとつは小さいことですが、大変な努力です。これを2年、3年と続けてきれいな歯ならびを得た人は、やっぱりいい習慣を得ることができるし、笑顔が全然違うんですよね。

ー 機能面や審美面だけではない側面があるのですね。

【新患の8割がセカンドオピニオン】正しい矯正が届いていない社会

歯列矯正の普及拡大に対して明確に課題となるのは、矯正歯科医の不足です。

ー たしか、資格を得た矯正歯科医は、歯科医全体のうち4%しかいないのですよね。

そうです。私たちは、歯列矯正には専門的な知識が不可欠であり、それなしでは適切な治療はむずかしいと考えています。

「私たちは」という表現を使ったのは、一般歯科医師(一般のむし歯治療を行う歯科医師)の中には、この認識を共有していない人が少なからずいるからです。私たち矯正歯科医は、一般歯科治療と矯正治療は明確に異なる専門技術だと考えています。

実際、矯正専門医が虫歯治療を行わないのは、専門外なので質の高い治療を提供できないためです。同様に、一般歯科医にとっても矯正治療は本来専門外であるはずですが、現状では歯列矯正に必要な専門性が軽視されているケースがかなりみうけられます。

ー 歯科医師の中でも技術の捉え方にグラデーションがあるのですね。

マウスピース矯正の普及が本格化した2010年代後半から、トラブルが本当にふえています。

たとえば今年(2025年)になってからの当院の新患のうち、8割がセカンドオピニオンでの来院でした。5年もやっているのにいっこうに治る気配がない、歯茎が痩せてきた、などお困りごとを抱えて来院されます。

ー 新規の患者さんの8割が、セカンドオピニオン……!衝撃的な数字です。どのようなことが原因なのでしょうか?

トラブルに至った経緯を詳しく見るすべがないので分からないことも多いですが、ひとつ言えるのは、歯列矯正はゴール設定と治療戦略と戦術、この3つが揃っていないとうまく行きません。初手の見立てを誤るともうゴール設定を間違えてしまうので、そもそもうまく行かない治療計画になってしまっていた可能性はありますね。

そして、ゴール設定に対し適切な装置をチョイスできていたのか、患者さんにしてもらうべきメンテナンスを伝えられていたのか、考えられる要素が多数あります。

この見極めこそが、矯正専門医と一般歯科医の知識や経験値の差が出るところです。

ー 正直、患者の立場からは、矯正専門医と一般歯科医の技術の違いをしっかり理解できていないと思います。

矯正歯科医と一般歯科医の違いを年数で分かりやすく説明しましょう。

通常、歯科医師免許を取るのには歯学部で6年間学んだ後、国家試験を受けてさらに1年間の臨床研修を受けます。これで一般歯科医としてキャリアをスタートできます。

しかし、矯正歯科医になるためにはそこからさらに最低5年間、歯科矯正学の知識や臨床について大学矯正学講座で研修を受ける必要があります。そして学会の認定医をとれる人もいますが、そこがようやく矯正専門医としてのスタート時点なんです。この教育期間の違いからも、専門性の高さがお分かりいただけるでしょうか。

アメリカでは、矯正専門医と一般歯科医は明確に異なる専門職として広く認知されています。テレビCMでの広報内容や、所属する学会の入会要件、成り立ち、目的も異なっており、両者の専門性の違いが社会的にも明確に理解されています。

「高クオリティな治療を身近な場所で」共通する危機感へ挑むサービス

ー Braceの代表、吉住と近い課題感を抱いていらっしゃると感じました。この業界の状態に一石を投じるべく、立ち上がったのがBraceのサービスです。

ー 有本さんから見て、Braceのサービスをどのようにご覧になっていますか?

患者さんにとって良いことですよね。そして、革新的でもあります。本来、希少な専門家のもとでしか受けられない高クオリティな治療を、身近な場所で受けることができるようになります。

オンラインを介して提供するので、住んでいる場所を問わず治療を受けられる点も、矯正の普及拡大に有効なサービスだと感じます。矯正歯科医は東京や大阪など大都市には多数いますが、地方にはなかなかいませんし、矯正専門医院の開業数となるともっと数が少ないです。

どんな環境でも、誰でも、専門医の監督下で歯列矯正ができる土壌を耕すのはものすごく意義のあることだと思いますね。

ー 矯正治療はデータに基づいて治療方針を策定するので、デジタルツールとの相性も良いですよね。

オンラインでの技術提供を業界に導入したことで、医師のキャリアや働き方に良い変化をもたらしていると実感しています。

患者さんの状態データがあれば時間や場所を問わず診断ができるため、柔軟な働き方が可能です。特に女性が多い矯正歯科医にとって、ライフイベントと両立できる働き方として魅力的だと感じています。

これにより矯正医全体の働き方の選択肢が広がっています。
Braceの矯正歯科医として臨床に携われることで、開業に伴う負担なく、経営やマネジメントではなく治療に専念できます。

ー Braceに所属している先生方はフリーランスとして携わる方も多いです。

また、専門医がひとつの場に集まって気軽に相談や知見のシェアができる場ってなかなかないんですよね。症例がストックされていったり、他の先生の治療方針に触れる機会があったり、独りよがりにならないような環境は良いなと感じます。これは、患者さんにとってもリスクヘッジですし。

待ち受ける「歯医者不足」を食い止める

ー Braceに期待を寄せていただいていることが分かりました。逆に、懸念というか、課題と見ているところはあるでしょうか。

サービス自体は有意義なものだと感じるので、これから拡大の頑張り時ですよね。もし批判されるようになってきたら、やっと認知度が上がって、成長したきたな、と感じることができるではないでしょうか。笑

ー ご批判、ですか。

矯正専門医の皆さんは、基本的に「矯正は専門医が自身で手がける」というスタンスでいらっしゃいます。対して、Braceのサービスは「一般歯科医に矯正専門医の知見を提供してサポートすることで、専門医のクオリティを患者さんに届ける」というものです。この体制に賛同しかねる先生が出てもおかしくないと考えています。

ー あくまで専門医が対面で患者さんに対応することが重要だと。

そこを、クオリティを担保した良い治療を提供できるようなサービスを確立させる、これがBraceのチャレンジになるかと思います。なので吉住先生には直球で話をしました。いい加減な治療をする歯科医を増やすようなことになるなら私はBraceに協力も応援もできない、と。しかし先生は誠意と治療結果で応えています。

限られた専門医の知見をシェアしてきちんとした治療を届けたり、歯科医にはたらきやすい土壌を築くことは、日本の健康そのものを守ることにもつながっていると思っています。

ー ひとつひとつの信頼を積み重ねていくのみですね。

これが数として増えていくことが、矯正治療の普及そのものに直結すると信じていますし、Braceの今後に期待しています。

ー ありがとうございます。

(取材・文 橋尾 日登美)